六月になった。心はまだこない



7時半に埼玉に着いた。

最近はバスか、自宅の床か、ソファでしか寝ていない。体中が軋む。

 

コンビニで弁当とお茶を買って

ネットカフェに駆け込み、

最後の一口も覚えていないほどのタイミングで眠りについた。

11時に目覚める。頭はボーッとしていた。

 

 

越谷に着いたのは13時頃だったか。

古本屋で適当な小説を買ってスーパーのベンチに腰掛ける。

5ページも進まないうちに本を閉じ、

コーヒーを買いに行く。

頭の靄が晴れない。

リハーサルまで2時間以上あった。

 

 

リハーサルを終えて街をフラつく。

音出しは順調に済んだ。

"いつもみたいに"

 

俺は少しうんざりしていたのかもしれない。

新しいことを目指し続けたつもりが、

自分で作った型にはまり、毎回70点の出来を目指す。

失敗はないが、感動など更にない。

大きなビルの一角にある文具屋の前に立ち、

ガラス窓に映ったニンゲンを見つめた。

かつて120か、0か、に挑み続けていた自分はそこにいなかった。

 

 

ライブを終えて山手線に揺られる。

残念ながら、"いつものように" 。

 

遂に今日は何かを打ち立てることも、

打ち壊すことも叶わなかった。

あと何回唇を噛み締めれば。

きっと死ぬか、辞めるかまで。

つまり、死ぬまでなんだろうな。

 

 

23:07 池袋で見た路上アーティストのクソみたいな歌は耳の穴から穴を駆け抜け、

真っ黒に汚れた地面にペタペタと泥を付けていた。

 

この夜を忘れたら、二度とヒトに向けた歌を作れない気がする。

 

夕べと同じ会社のバスに乗る。

眠れる気がしないが、

できる限り強く目を閉じようと思う。